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大人の修学旅行③



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京都の物の怪

 私たちは、カツキの勧める京料理へ向かった。

 料亭まで、電車で移動した。私は、数年ぶりに切符を買った。私は、切符を使って電車に乗るのは久しぶりだと思い、切符を眺めていた。切符購入時間が表示されており、その時間を眺めながら、誰かがトイレへ行ったので、帰りを待っていた。
 トイレから帰ってきて、さて、電車に乗ろうというそのときには、私の手には切符が無く、ポケットの中にもなく、バッグの中にもなく、跡形もなく無くなっていた。バミューダトライアングルの中にでも迷い込んだのだろうか。
 京都にそんなものあるものか、あってはならないと強く思うが、私の切符は、忽然と姿を消した。

 懸命な捜索が行われたものの、今でもその切符は見つかっておらず、安否が案じられている。

 改札を出て、三メートル歩いたところで起きたこの事件は、今でも京都の七不思議に数えられているという。もはや、物の怪の仕業としか説明することができない。陰陽師も真っ青である。

 そういえば、先生は、着替えの服を持ってくるのを忘れた。これも、物の怪の仕業に違いない。

 就寝前は炬燵で暖を取りながら、語り合い、「人狼」というロールプレイングゲームをして盛り上がった。なお、何か特別に言及すべき高尚な話は行われていないことを断っておこう。
 「人狼」では、先生が大活躍であった。このゲームは、相手を説得させて、敵チームを倒すというゲームである。弁護士となる事が決まった先生は、次々と相手を倒し、勝っていった。
 もし、「人狼」の世界に紛れ込んだら、先生を真っ先に吊るさねばならない。先生が狼であったときには、被害は甚大なものになるであろう。

 翌朝、眩しい朝日に起こされた。この五人の中には、人狼はいなかったようで、誰も無残な姿で見つかることはなかった。


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