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PoWは平等か?平等ってなんだろう

暗号通貨では、その通貨の性質は、平等かどうかが論点になることがある。
しかし、「平等」という言葉、人によって全く異なる概念が含まれている場合があるから、議論をするときには、十分気を付けなければならない。 

英語で表現すると、Equality(平等)とEquity(衡平)と区別されているようだが、その区別は日本語では曖昧である。
二つの違いについて説明を試みる。

Equality(平等)とEquity(衡平)とは

Equalityは、機会の平等、形式的平等と言われ、個々の特性に注目せず、それぞれに同じ条件を待遇を与えることである。
例えば、50メートル徒競走であれば、「よーい、ドン!」でみんな一斉に同じ位置から同じゴールまで走らせることである。
もちろん、ゴールするタイミングは、個々の脚力に依存してバラバラである。

Equityは、結果の平等、実質的平等と言われ、個々の個性に着目して、合理的な区別をすることである。
例えば、高い位置にある荷物をとるのに、背が高く、自力で取れる人には何も与えず、背が低く、脚立がなければ荷物に手が届かない人には、脚立を与えることである。
衡平の「衡」は釣り合いが取れたという意味であるから、なんとなくわかるかもしれない。
第三者によって積極的に関与をし、釣り合いの取れた結果をもたらすことである。

なお、合理的な理由のない区別をすることを差別と呼ぶ。
例えば、身長が低いわけでもないのに、女性は身長が低いものだからと言う理由で、背の高い女性にも脚立を出した場合などである。

資本主義社会とは、平等なルールの中での自由競争の社会であるが、現在は完全な資本主義国家は存在しない。
(アメリカも純粋な資本主義国家ではない。)

ベースは平等の理念であるが、社会的弱者を救済するため、運営主体(国家)によって衡平の理念のもと、作為を加え、平等の価値観に修正を加えるのが実際である。

どんな価値観でも、絶対はなく、矛盾する価値観に修正されることはおかしいことではない。
矛盾するものを合わせることで、より良い概念に止揚させることができる。

暗号通貨は平等か

暗号通貨は、特定の運営主体が存在しないという共通理解がかつては一般的であった。
したがって、そこにあるのは個々による完全なる自由競争の世界であり、これが成り立つのは、そこに完全なるルールのもとで平等に扱われるからである。
PoWは個々のマイナーは平等であり、これが正義である。 一方で、ASICが高価であったり、居所の電気料金が高いために、この競争に参加することができない人が存在する。 このような場合でも、完全なる自由競争の世界においては、ASICを買うために借金をして、電気料金の安い地域へ引っ越すことが正義となる。 
このような状況の中、この完全なる自由競争を修正し、弱者を救済するような暗号通貨を求める者が現れ始めた。 例えば、所得のある者から、無い者へと再分配がなされるようなアルゴリズムを取り入れた暗号通貨を作ろうという運動があった。 
しかし、これは成功しなかった。
なぜなら、このような積極的な関与は、機械的に決定することができず、必ず、運営者によって誰かから奪い、誰へ与えるかの決定や妥協の判断が必要になるからである。
しかし、その運営者は、誰もが納得する判断を行う運営者でなければならない。
国家によるそれは、その判断に皆が納得するためのロジックとして、自らの支配者を、自らが選挙で選ぶというプロセスの中でぎりぎり成立しているからである。

PoWは平等か

今日では、様々なコンセンサスアルゴリズムが開発されているが、時間軸における世代間の平等性に着目して考えたい。
コンセンサスアルゴリズムのPoWについては、こちらの記事(暗号通貨の裏コンセンサスアルゴリズムの説明)」の前半をご覧ください。

 PoWは、過去においては、全通貨が発行されているわけではなく、徐々に発行されていくタイプの通貨であるため、過去と現代の世代間は隔たりがなく、平等であると言える。
しかし、将来の世代については、マイニングにより地球資源の浪費が行われているとすれば、地球資源が枯渇したタイミングで、それ以降、過去の世代と比較して、平等と言えなくなる。

技術革新による解決に期待をするが、自分が死ぬまでに、エネルギーがなくならなければいいのだという発想で、マイニング競争が繰り広げられるとすれば、残念である。

他のコンセンサスアルゴリズムについても、この観点から検討してみると面白いかもしれない。

私は、PoWは、完璧ではないにしろ、現状ではもっとも平等な仕組みだと思っている。
私は、PoS通貨については知識が浅いので、ここでは言及をやめておく。

「暗号通貨は平等か」と聞かれた時に、「暗号通貨は衡平か」という意味で議論すると噛み合わないので注意しよう。

モナコインは平等か

モナコイン、正確に言えばモナコインの開発者は平等か。
私は以下の理由から、彼は意識的に、そして徹底的に「平等」という原理を意識して行動をしているように思われる。
  1. モナコインのブロックチェーンが始まったのは2014年1月1日だが、その以前に世界へ向けてモナコインを公開する事を発表している点
  2. 全員に適用されるゲームルール(モナコイン)のデザインのみを行い、自らは個々の参加者に対して干渉しするモナコイン運営者として君臨をしなかった点(本当に初期はもっと積極的に関与していたが)
彼は、ゲーム製作者との噂があるが、ゲーム製作者の持つ矜持から、そのような立場で接する事を選択したのかもしれない。

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