2013年から暗号通貨について活動している、とあるモナコイナーのブログである。

2018年8月18日土曜日

陳腐なバズワードになったトークンエコノミーの意味とは #暗号通貨界隈のキーワードを考える


トークンエコノミー(代替貨幣経済)を理想とする若者が、私の観測範囲内で増えている。
一体、トークンエコノミーとはなんなのか、トークンエコノミーで何が変わるのか。
私の家族が、お中元でもらったものだけでこの時期生活をしている様子を見て、もしかしたら、トークンエコノミーってこういうこと?とふと思ったので、調べてみよう。




トークンエコノミーという言葉は、様々な場所でいろんな人が言及するのであるが、仮想通貨投機関係のブログを見ていると、とある草コインやら草トークンやらを紹介して「これがトークンエコノミーだ!(だから値上がりする前にその仮想通貨を買え)」と言っている人をチラホラ見ることができ、ETHやCounterPartyで生成されたアセットが、「トークン」と呼ばれていることをいいことに、トークンエコノミーという何だか新しそうで、そして凄そうな単語と結び付けていて、「トークンエコノミー」が陳腐なバズワードになりつつあるなと感じているのだが、本当にそういう意味なのだろうか。

彼らは、トークンエコノミーを賛美しつつ、実態的には現状の経済の中で最適な活動をしているようにしか思えないのである。

「バズワード」(=プラスチックワード)
意味のあいまいなままに、いかにも新しい内容を伝えているかのように思わせる言葉。プラスチックのように自由に組み合わせ、さまざまな分野で手軽に使える語をさす。ドイツの言語学者ベルクゼンが提唱。「国際化」「グローバル化」「コミュニケーション」など。
引用元
それっぽい単語で、具体的な内容は不明確だが、それっぽい感じで、なんか凄そうなやつ。IoTやA.I.、人工知能、ディープラーニング、ブロックチェーンなどの単語に、凄そうと反射的に投資をしてしまった人は、バズワードに気をつけましょう。

草コインについては、こちらの記事をご覧ください。
草コインに投資をする前に草コインを知る #暗号通貨界隈のキーワードを考える

少なくとも、理想に燃える若き者達が、上記のブロガーようなことを夢見ているとは思えない。

そもそも、トークンエコノミーというのは、「トークンエコノミー法」と言って、ある障害がある子供への治療法の一つらしい。
「トークンエコノミー法」 
主に、特別支援教育において、障害のある子どもに対して行う療法の一つで、子どもがある望ましい行動をした際に、物品などの「ごほうび(トークン)」を与えるという方法のこと。これにより、子どもがその望ましい行動をより頻繁に行うようになる心理学的効果があるとされている。具体的な例として、子どもがお手伝いをした際などに、シールやお菓子などを決められた個数渡すなどの事例を挙げることができる。
引用元
トークンエコノミーの本当の意味は、上記の通りなのだろう。
しかし、これでは現在積極的に用いられている用語とは異なる意味なので、もう少し調べを掘り進めてみる。
トークンエコノミーで何が変わるのか、2種類ほど考えてみた。

拡張したシェアリングエコノミー


松本 勝 氏は、東洋経済オンラインの記事「トークンエコノミー」は何がスゴいのか?」で次のように述べる。
国や政府が発行する法定通貨に依存しないトークン(貨幣の代わりになる「権利」のようなもの)と呼ばれる「代替貨幣」による経済だ。
(中略)
各個人が自分の「強み」や「資産(有形、無形を含む)」だけをトークン化して流通網にのせることで対価を受け取ることができ、逆に自分がもっていないピースは流通させて、市場から調達すれば良い。そういった意味では、「究極の共創社会」、または「究極のシェアリングエコノミー」とも言える。

Toyo sakuma 氏は、「ブロックチェーンとトークンエコノミーはどのような変化をもたらすのか?」にて、次のように自身の記事を要約している。
ブロックチェーンによって生まれるトークンエコノミーは、シェアリングエコノミーよりも大きな領域に及び、貨幣をはじめとした公共財のやりとりをしなやかなものにする。特に、これまで貨幣経済の影に隠れてきた社会関係資本や自然資本の価値が見直され、ブロックチェーン上での共有地化(コモンズ化)が進む。トークンエコノミーは国家の弱体化を補い、小さな共同体のアップデートを促す。
上記の2人に共通するのは、トークンエコノミーというのは、トークン(代替貨幣)の経済であるとしつつ、実態としては、シェアリングエコノミーを拡大・拡張したもののようだ。

「シェアリングエコノミー」 
物・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組み。自動車を個人や会社で共有するカーシェアリングをはじめ、ソーシャルメディアを活用して、個人間の貸し借りを仲介するさまざまなシェアリングサービスが登場している。シェアエコノミー。シェアエコ。共有型経済。
引用元

Toyo sakuma 氏は、中世・近世の社会、近代社会、トークンエコノミー普及後と三つに社会を分類し、「誰が主体で、資本の管理・運営をするのか?」に焦点を当てて分類している。
今まで、公益企業や自治体により、共有財として管理されていた「通信、発電施設、医療、教育、清掃など」だけではなく、公が管理している「山里保全、学校設備、防災、鉄道、港湾など」の共有財としての管理が技術的に可能になるという。
今まで個人が管理していた「遊休設備、移動、家事、衣食住など」を共有財したシェアリングエコノミーからの視点でいうと、トークンエコノミーとは、シェアリングエコノミーだけではなく、従来、技術的な制約などから国家が管理をしていた領域をも、共有財として管理をする「シェアリングエコノミーよりも大きな領域」の「究極のシェアリングエコノミー」と表現されるのであろう。
これが一つ目の意味の「トークンエコノミー」である。

あらゆるものを数値化する社会


そして、トークンエコノミーは貨幣以外のものを数値化することを意味するから、全てが数値で評価される社会と結びついて言われることがある。
冒頭の若者の理想とする社会というのは、どちらかというと、こちらの社会を指しているように思う。

英国元首相のチャーチルが言ったという「20歳までに共産主義に傾倒しない者は情熱が足りない。20歳を過ぎて共産主義に傾倒している者は知能が足りない」という言葉がある。
若い時は理想に燃え、そして現実を知るというような意味に捉えているが、トークンエコノミーという言葉に、それと同じような理想論的な雰囲気を感じていたものの、もしかしたら、現代では、それがブロックチェーンなどで技術的に可能になっていて、知能が足りないなんて言われる時代ではなくなったのかもしれない。

この社会について、 今回は、どのようなアイデアがあるかを適当に考えて列挙するだけとしたい。

  • 電車で身体的弱者に席を譲った時に「優しさポイント」がもらえる
  • 日々の歩いた歩数に応じて「健康ポイント」がもらえる
  • 渋谷のハロウィン後に捨てられたゴミを集めることで「スイーパーポイント」がもらえる
  • 子育の経験時間に応じて「親EXポイント」がもらえる

「優しさポイント」が高い人は、きっと他の人からも優しくしてもらえ、「情けは人の為ならず」の具現化である。

「健康ポイント」が多くある人は、保険会社から保険料が優遇されることだろう。 (すでにあると思う)

「スイーパーポイント」が高い人は、周囲にゴミ捨てに対し、意識的に良い影響を与えることだろう。

「親EXポイント」の女性平均よりも「親EXポイント」が低い男性は、社会から白い目で見られ、父の日には、親としての意識を再確認する講習の案内が届くという社会になるかもしれない。

これらが、貨幣経済と結びついたら、それは貨幣経済の拡張・拡大なのでしょうが、結びつけては意味がない性質のものもあり、このような社会をトークンエコノミーと呼んでいるのかもしれない。

なお、中国では、芝麻信用という信用情報管理システムがあるらしい。
「芝麻」とは中国でゴマ(胡麻)のこと。おとぎ話の「アリババと40人の盗賊」で「開けゴマ」という呪文が使われるのにちなみ、「ゴマで(将来の可能性が)開かれる」という意味を持たせてある。

(略)

「芝麻信用」はアリペイでの支払い履歴(ホワイトおよびブラック情報)のほか、個人の学歴や職歴、マイカーや住宅など資産の保有状況、交遊関係などをポイント化。信用度を350~950点の範囲で格付けし、その点数を与信や金利優遇などの判断材料にするほか、本人にも公開している。

引用元

上記の記事によれば、点数が低いとホテルに泊まれず、また、点数が高い人しかホテルに泊まれないとなると、むしろ安心されるのだという。
婚活や就活でも、当然このポイントがモノをいい、芝麻信用の点数がそれらの結果に響いているという。

一見、便利なようであるが、プライバシーの問題とも直結し、アリペイが数字をいじれば、その人の人生をゆがませることも可能になるだろう。
この点数によって、品行方正な人々が増えるという実益があるかもしれないが、プログラムの点数で定義された品行方正さは、実際の正しさに合致しているかは、これもアリペイの定義に依存しているともいえる。

アリペイによって「経済的に豊かで、道徳的な人」とされる人物はどんな人物なのだろうか。
下記の事項が点数に関係あるようだ。
1)身分特質:社会的ステイタスや高級品の消費など

2)履約能力:支払い履行能力

3)信用歴史:クレジット履歴

4)人脈関係:交友関係の社会信用スコア

5)行為偏好:消費行動の偏り

引用元
すべてアリペイ決済にすれば高得点になるというのも、なんとも恐ろしい世の中になったものだと思わざるを得ない。
面白いシステムであり、もう少し調べてみたいと思う。

さて、今回説明した、どちらもトークンエコノミーと言われると思うのですが、皆さんはどういう意味で使っているだろうか? 単なるバズワードとして浅い理解で消費をせずに、真面目に考えてみた。